複合機とプリンターってどう違うの?それぞれの違いとメリットを解説

複合機

書類の印刷に欠かせない複合機とプリンター。搭載されている機能が異なるため、それぞれの違いを明確に把握する必要があります。

そこで今回の記事では、複合機とプリンターのサイズ・機能・コストなどの違いを解説します。どちらを選ぶべきか迷っている方は、参考にしてくださいね。

複合機とプリンターの定義

複合機はコピー・プリンター・スキャナ・FAX・ステープラーなどの機能が1つにまとまっています。

<複合機の主な機能内容>

  • コピー:原稿をガラス面から読み取り複写する
  • プリンター:パソコンやスマホなどにあるデータを印刷する
  • スキャナ:文書を読み込み、データ化してパソコンに保存する
  • FAX:文書を読み取って相手に送信する
  • ステープラー:自動で複数枚の紙を留める

上記の通り異なる機能を備えた複合機は、幅広い業務に対応できるため、業務用としてオフィスで活用されています。

対してプリンターは、プリント機能のみを搭載した単一機能の機械です。

<プリンターの主な機能内容>

  • プリント:パソコンやスマホに保存されたデータ・ファイルを印刷する

プリンターは液状のインクを吹き付けるインクジェットプリンターと、トナーと呼ばれる粉体樹脂を熱で溶かして付着させるレーザープリンターとに大きく分類できます。

しかし、プリンターは基本的にプリント機能のみの機器ですが、中にはスキャナやコピー、FAXなどの機能を備えたものもあります。性能は複合機ほど高くないものの、境界線は曖昧になってきています。

複合機とプリンターの具体的な違い

機器の購入時にまず検討したいのは、機器の設置場所と購入費用です。そのためここでは、 各機器のざっくりとしたサイズと価格の違いを把握しておきましょう。

サイズの違い

複合機の本体サイズは縦・横・高さともにプリンターよりも大きいものが主流で、直接床に設置することが多いため、十分な設置スペースを確保する必要があります。

プリンター以上に幅を必要とする複合機ですが、先述の通りコピー機・FAX・スキャナなどが1台にまとめられるため、それぞれの機器を設置するよりも、省スペースになるのが魅力。特にオフィス賃料が高い地域では、その利便性を発揮するでしょう。

一方プリンターの本体サイズは、複合機に比べてコンパクト。プリンターは高さが低めで、デスクや収納に置いて使用するため、場所を改めて確保するケースは少ないでしょう。

費用の違い

本体価格は、機能が多い複合機が単機能のプリンターよりも高くなっています。プリンターは数万円から購入できますが、複合機の価格は40万円以上となっています。プリンターとは異なり複合機は価格帯が広く、中には100万円を超えるものもあります。

上記で説明した通り、複合機は導入コストがかかるものの、オフィス向けの専用機器の機能を1台で補完できるため総額予算が小さくなる可能性があります。例えばFAXは20万円程度、スキャナは20万円前後と専用機器は比較的高価なものが多いです。そのため、1台に集約できる複合機は、別々に購入するよりもコストカットが図れるでしょう。

電気代の比較では、複合機の最大出力は1100W〜1300W程度、プリンターは100W~400W程度です。よって、電気代はプリンターの方が低く抑えられるといえます。

複合機とプリンター、どちらを選べばいい?選び方のポイント

ここからは、使用状況に見合った性能の選び方と詳しいコストについて解説します。複合機とプリンターのどちらが企業の実情に合うか、見極める参考にしてくださいね。

月間印刷枚数と印刷速度

月間印刷枚数とは1カ月間にコピー・プリント・FAXを使って印刷した枚数です。月間印刷枚数は請求書に記載されているほか、使ったコピー用紙の枚数で求められます。また、これから機器を購入する場合は「従業員数×1日あたりの使用枚数×営業日数」によって月間印刷枚数を割りだしましょう。

印刷速度は1分間に印刷できる枚数を示し、枚数が多くなるほど速く印刷できます。適当な印刷速度は、先ほど計算した月間印刷枚数から導き出します。

<月間印刷枚数に適した印刷速度>

月間印刷枚数 印刷速度
~3,000枚 20枚/1分程度
3,000〜6,000枚 30枚/1分程度
6,000〜8,000枚 45枚/1分程度

月間印刷枚数が多いのに印刷速度が遅いと業務効率が落ちてしまうため、基本的には月間印刷枚数に応じた印刷速度のモデルを選ぶのがおすすめです。

導入コスト

検討時には、初期費用とランニングコストの目安を知っておくことが重要です。 それぞれの費用は、メーカーやモデルによって違うため、あくまで目安と捉えましょう。

■初期費用

初期費用はプリンターよりも複合機を購入する方が費用はかかります。

<本体価格>
複合機     40万円前後~
プリンター   数万~60万円前後

<運搬&設置費用>
複合機     3~5万円前後
プリンター   2~8万円前後

<初期設定費用>
複合機     2万円前後~
プリンター      1万円前後~

初期設定費用は、複合機の場合は本体価格に含まれていたり、運搬設置費用に含まれていたりする場合があります。

■ランニングコスト

電気代は複合機の方がプリンターよりも高いものの、ランニングコストをトータルで見ると、複合機の方が低い傾向があります。

<トナーカートリッジ>
1枚印刷する度にかかる料金は以下のとおりです。

複合機    モノクロ:0.8~3円  カラー:8~25円
プリンター  モノクロ:1~4円  カラー:8~12円

<電気代>
1分間に25枚印刷できる機能の複合機とプリンターで1カ月の電気代を比べています。

複合機    270円前後
プリンター    20円前後

<印刷用紙>
印刷用紙の価格は、複合機とプリンターのどちらを使っても差はありません。

<メンテナンス費用>
複合機    カウンター保守料金に含まれることが多い
プリンター  不具合がある度に費用が発生する

<リース料金>
リースした場合の1カ月当たりの費用です。

複合機     3,000~50,000円前後
プリンター   5,000円前後~

自社の利用ニーズに合った機能の有無

複合機とプリンターとのどちらを採用するかは、自社の利用ニーズを洗い出した上で、設置スペースの有無や予算と照らし合わせて判断するのがおすすめです。

使用する機能がプリントだけならばプリンターがおすすめ。また、従業員数が少なく設置スペースを確保しにくい企業や、導入費用を抑えたい場合もプリンターが向いています。

対して複合機は、プリントのほかにFAXやステープラーなどの複数の機能を使用する企業におすすめ。また、設置スペースや予算を確保でき、これから従業員の増加が見込まれる場合も向いています。

利用ニーズの洗い出しは部署ごとに行い、各部署の業務内容に応じて複合機かプリンターを選ぶと、企業全体の導入コストの削減が図れます。

知っておきたい複合機のオプション機能

複合機には、コピーやプリント、スキャナ、FAXなどの機能のほかにもオプションで付けられる機能があります。そこで本項では、追加で備わっていると便利なオプション機能を紹介します。

大容量給紙カセット

大容量給紙カセットは、複合機の側面に取り付ける大容量の給紙カセットのことで、オプション機能の1つです。書類や資料を紙に印刷することが多い企業におすすめします。

大容量給紙カセットが収納できる紙の枚数は3,000枚前後。一般的な複合機では500枚前後となっているため、約6倍の用紙を収納できます。

印刷の途中で何度も給紙が必要になると、複合機のそばで待機する必要があり、作業能率が下がってしまいます。業務で1度に大量の印刷する場合は、大容量給紙カセットがあると便利です。

フィニッシャー

フィニッシャーは、複数枚で構成される印刷物を1部ずつまとめる機能です。フィニッシャーはステープラーで留めるだけでなく、機能を加えれば中綴じ、三つ折り、パンチ穴あけなどができます。配布資料の作成機会が多い企業におすすめです。

フィニッシャーは大きく2種類に分けられます。1つ目のインナーフィッシャーは排紙部分に取り付けられ、枚数が少ない資料の作成に向き、印刷枚数が少ない企業におすすめです。導入には数万かかり、1分間に25枚程度印刷するモデルに搭載されています。

2つ目のサドルフィニッシャーは複合機の側面にセットするタイプで、1カ月の印刷枚数が5,000枚を超える企業におすすめです。50〜100枚綴りの資料作成ができるものの、導入には数十万かかり、高速印刷モデルに搭載されています。

クラウドサービス・ソフトウェア

クラウドサービスとは、複合機で扱ったデータをインターネット上のクラウドと連携できる機能です。例えば、スキャンしたデータをクラウド上に保存し、そのデータを外出先で閲覧したり編集したりが可能。また、保存したデータをクラウドから呼び出して印刷したり、FAXをクラウドに転送したりができます。

ソフトウェアはパソコンにインストールし、複合機とつないで使用するオプションです。紙文書の電子化や文書管理に役立ち、さまざまな形式で作られたデータを1つの画面上で処理できます。例えば、受信したFAXに「重要」「社外秘」などの電子的なスタンプを押すことが可能です。

どちらもペーパーレス化を進められコスト削減につながるほか、テレワークにも利用できるところが魅力です。

ICカードリーダー

ICカードリーダーは、ICカードをかざすだけで複合機の利用認証が可能になる機能です。

オプションを付けない場合は、利用時にユーザーIDやパスワードの入力が必要でしたが、ICカードリーダーはその手間を省くことが可能です。

また、権限が与えられていない人は使用できないため、不正利用の防止に役立ちます。

さらに、複合機を使う部署が複数にわたる場合は、誰がどれだけ印刷したのか、把握が可能に。無駄なコピーを削減し適切な使用を推進できるため、コスト管理に役立ちます。

まとめ

複合機とプリンターには、搭載されている機能だけでなく、サイズやコストにも違いがあります。

業務の効率化のために普段の仕事で使う機能を洗い出し、適切に選ぶための参考にしてくださいね。